第一章 それぞれの歩みと心の裏側

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「『追憶』とは、『過去に想いを馳せる』こと。花言葉だけではなく、花橘に託した想いがあるのかもしれませんよ?」  ホームズさんには、もう麗さんの想いが分かっているようだ。  その上で、喜助さんを諭している。 「花に託す想い。そして過去に想いを馳せる……」  喜助さんは考え込むようにした後、あっ、と顔を上げた。 「『和歌』かな。花橘が出てくる和歌って、何があるんだろう」  喜助さんは、すぐにスマホを取り出そうとしたが、その前にホームズさんが和歌の本を彼の前に差し出した。 「昨今はなんでもネットに答えが出ていますが、自分でページをめくって調べてみるのも良いものですよ」 「あ、ああ。ホームズ君は、うちの父のようなことを言うね」  ありがとう、と喜助さんは、ページをめくる。  ちょうど、花の種類別の索引ページもあり、調べていく。
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