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面白そうだと思ったのか、ほんの少し口角を上げた。
「分かりました。では、葵さん。せっかくの作品を拝読するのですから、今日は、店を閉めましょうか。クローズにしてもらえますか?」
私は、はい、と返事をして、店の外に出ると置き看板を中に入れて、扉に『CLOSED』の札を掛ける。
私たちはカウンターから離れて、応接用のソファーに座った。
「そうそう、作中で探偵が警察の捜査に協力したりと現代においては考えられないことがあったり、時代は昭和初期なのに、登場人物の口調が現代的だったりするけれど、それはあえて読みやすさとエンターテイメント性を考慮しているの。怪訝に思っても目を瞑っていただけたら幸いよ。
『賢明な読者諸君へ、作者からのお願いである』というやつね」
分かりました、と私とホームズさんは小さく笑って、原稿に目を落とす。
――ここからのお話は、ホームズさんを主人公にした、
相笠くりす著作の物語。
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