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清貴と秋人が屋敷に向かって歩いていると、警察のものと思われる車が停まっているのが見えた。
「清貴君!」
屋敷の中で、清貴の姿を見付けたのだろう。
秋人の兄で京都府警の警官・梶原冬樹が、玄関から駆け足でやってきた。
冬樹は、東京帝国大学卒業後、警察官になったエリートで、近々刑事になるだろうと囁かれている。冬樹の外見は、秋人とはまったく違っていて、精悍で男らしく、堅実な印象だった。
「冬樹さん、お久しぶりですね」
会釈をする清貴の横で、「おーす、兄貴」と秋人が手を上げる。
冬樹は露骨に顔をしかめて、秋人を見やった。
「……やっぱり、お前もついてきたんだな」
「ホームズに助手が必要だと思ってよ」
悪びれもしない秋人に、冬樹は諦めたように息を吐きだす。
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