第一幕 最初の事件

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 清貴と秋人が屋敷に向かって歩いていると、警察のものと思われる車が停まっているのが見えた。 「清貴君!」  屋敷の中で、清貴の姿を見付けたのだろう。  秋人の兄で京都府警の警官・梶原冬樹が、玄関から駆け足でやってきた。  冬樹は、東京帝国大学卒業後、警察官になったエリートで、近々刑事になるだろうと囁かれている。冬樹の外見は、秋人とはまったく違っていて、精悍で男らしく、堅実な印象だった。 「冬樹さん、お久しぶりですね」  会釈をする清貴の横で、「おーす、兄貴」と秋人が手を上げる。  冬樹は露骨に顔をしかめて、秋人を見やった。 「……やっぱり、お前もついてきたんだな」 「ホームズに助手が必要だと思ってよ」  悪びれもしない秋人に、冬樹は諦めたように息を吐きだす。
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