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そんな小松の気持ちを察してか、清貴は、ふふっ、と笑って話題を変えた。
「そういえば、小松さん。先ほど何か言いかけていませんでした?」
小松は「えっ?」と視線を合わせる。
「僕がここにいると思わなかったという話の時に、『だから俺も』と……」
小松は思い出して、ああ、と手をうった。
「二人がもうここに来ないと思ってたから、俺も考えなきゃってな」
「もしかして、本当に事務所の移転を考えられていたとか?」
いやいや、と小松は首を振る。
「あんちゃんを見ていて思っていたんだ。自分の特技は、フルに生かさなきゃ駄目だなって。正直、あんちゃんたちがいなくなった後、探偵業だけで食べていくのは大変そうだし、副業をすることにしたんだよ」
「副業?」
「といっても、ゲーム会社のバイトだけどな。プログラミング系の」
少し気恥ずかしそうに言う小松に、清貴は大きく首を縦に振る。
「なるほど、小松さんはその道のスペシャリストですから、ピッタリの副業ですね」
どうも、と小松は肩をすくめた後、そうそう、と言いにくそうに頭を掻いた。
「で、半月は、ここでプログラムの仕事に集中しなきゃならなくて、探偵業は休むつもりだったんだよ。あんちゃんも円生も来ないと思ってたから」
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