第二幕 第二の事件

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 母と娘の二人が使っていた部屋は、豪華なホテルのツインルームのようにベッドが二つ、綺麗に並んでいる。  また、これもホテルのようにバスルームが備えつけられていた。  ベッドの間にはチェストがあり、そこに果物が置いてある。  この部屋には暖炉があり、暖炉の上には燭台に美しい花瓶が飾られていた。  美しい部屋だったが、秋人は床を見て真っ青になった。  血痕が広がっている。  この部屋のカーペットはモスグリーンのため、血の色がはっきりと見えた。  どんな惨劇がここで繰り広げられたのかと、目を覆いたくなる。  実際、秋人は「ぎゃっ」と呻いて、清貴の袖をつかんで背後に回った。 「ついに殺人事件が……」  震えるように言う秋人に、冬樹は「いや」と首を振った。 「華子夫人は、亡くなってない」  へっ? と秋人は顔を上げ、 「やはりそうでしたか」  と、清貴は相槌をうった。 「な、なんでだよ。血の海じゃねぇか!」 「冬樹さんは、華子夫人が『襲われた』と言いましたが、『殺された』とは言ってません。それに一見、惨劇のように見えますが、人が死に至るほどの血の量ではないでしょう」  清貴はモスグリーンのカーペットに付着した血の量を確認しながら、冷静に言った。  この状況でどうして顔色も変えずにいられるんだよ、と血が苦手な秋人は、気分が悪くなって、手で口を覆いながら洩らす。
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