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昼休みは……残り十分ぐらいかな。
これなら今借りた本も少しだけ読めるかも。
朱音は『Killer 二巻』を手に取ると、白紙のノートをめくるようにパラパラと本を開いた。
「あっ、二巻は朱音が借りているんだね。読み終わったらすぐに借りるから早めに返してね」
アリサがいつの間にか横で座って朱音に話しかける。
そのアリサの腕には朱音がおすすめした『Killer 一巻』が抱えられている。
「まだ一ページも読んでいないのに予約するのは早くない?」
「神崎先生と朱音が面白いっていうならその本は面白いよ。今まで読んできた本はだいたい神崎先生と朱音に紹介されていた本だからね。二人が紹介した本はどれも面白かったよ~」
そうだったけ、でも神崎先生が紹介する本はいつも自分に合っていて面白いから納得だ。
朱音がそう考えている間も、アリサは朱音が持っている『Killer 二巻』をものほしそうに目を輝かせている。
うっ、本当はゆっくりじっくりと読みたかったけどすっごく断りずらい!
まぁ、また借りられるしいっか。
「そっか、わかったよ。それじゃあ私はこれをすぐに読んで返すから待っていてね」
朱音が言い終えると図書室の入り口からこそこそと話し声が聞こえる。
音の聞こえるほうに顔を向けるとアリサの友達がこちらに手招きをしていた。
「あっゴメン、私……もう行くね。また明日、学校で会おうね」
アリサは本を抱えると友達のほうに向かっていった。
……アリサは友達が多いよね。
一人だと自分の時間がたくさん使えるっていうのは一人でいていいところではあるけど、友達を作るのが苦手な私にとっては友達に囲まれた生活がちょっとうらやましい。
朱音は図書室にあるイスに座ると一番上の『Killer 二巻』を手に取る。
表紙と目次を飛ばすとそのまま最初のページの一行目を見る。
えーっと、一行目は――
「ねぇ、朱音さん?」
誰かに声をかけられて反射的に後ろを振り返る。
後ろを振り返るとその声の主に思わず固まってしまった。
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