温暖化

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 2019年夏、日本全国で初めて、新潟県上越市で最高気温が40度を記録した。その他の地方でも軒並み史上最高気温を記録した。温暖化が取り返しのつかないところまで進んでいるのはもはや一般人の中でも共通の認識になっていた。最高気温、海面上昇、極氷の減少、大気中CO2濃度の歴代記録更新について、あるいは、積雪が少なくなりスキー場がオープンできなくなったり、動植物の生息域の変化など、気候変動に関する報道が毎日のように行われていた。  そのため国民はエコに対して高い関心は持ってはいたのであるが、生活を犠牲にしてまでエコを推進するほどの必要性を感じていなかった。政府の動きも緩慢であり、再生可能エネルギーへの補助金、わずかばかりの二酸化炭素税の導入、自動車関連の税率のコントロールなど、強制力のない施策はあるものの、経済活動を妨げてまでエコを推進しようというような動きはなかった。  さらには、2011年の東北大震災の際の原発事故によって原発の安全性への疑問が深まり、火力発電へのシフトを余儀なくされたことも、CO2排出量の抑制を推進する上で不運で致命的な事象だった。こういったことから、日本国内における温暖化問題に対する対策は遅々として進まず、見て見ぬふり、深く考えないことにしようといった風潮があり、あきらめムードが支配していた。
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