Indigestion

高3．秋の食べ比べ

「チャコ！」
　今市駅の前、久しぶりに待ち合わせ。
「今日はちょっと寒いね」
　風も少し秋らしい。
「もう九月だよ」
　改札とも言えない簡素な通路を抜けて、すでに止まっている日光線に乗り込む。
「え、ボタン開閉なの」
「やっとボタンになったの！　去年までは手動だよ？」
　本数も一時間に一本で、定期券も値段がバカにならないから下今市駅を使う私が羨ましいと文句を垂れる。
「前に会ったのは前期の中間が終わった日か。元気だった？」
「soso」
「何で急に英語」
「最近覚えた」
「それはまずい、もっと前に習ってるよ」
　休日だけど、上り線は空(す)いていた。
「やっときたね、この日が」
「〆(しめ)だけは決めてある」
「すっごい当てたいけど得意げな羊子のために黙っとくね」
「なんでよ！」
　くだらないことで笑い合う。そうして電車に揺られていれば三十分ほどで終点の宇都宮駅に着いた。