高3.秋の食べ比べ

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 今市駅とは比べものにならない、半円を描くように並ぶ自動改札機たち。その左端の改札を抜けて新幹線から降りてくる人を避けながら慌てていると外に出た。 「行き過ぎ! 外に出ちゃったじゃん」 「人がいっぱいいるの慣れてなくて焦った」  外、だけどここは二階だ。通路の下にはバスを待つ人の列が並び、歩道橋のように奥まで何個も階段がある。 「バス停何個あるの?」 「うーん、分かんないけど十個くらいかな。私はすぐそこから乗ると高校までまっすぐ行けるよ、めっちゃ混むけど」  チャコの高校は日本一のマンモス校といわれるだけあって生徒数は半端ないらしく、バス停から階段上までお客で埋まるという。 「毎日通っているチャコは偉いと思う」 「あはは、いつもは手前で降りて、直通バスに乗るんだよ」  明るい。チャコはよく笑う。泣いたところは小学校低学年に見たきりだし、落ち込んでいることもない。一緒にいて楽だけど、いつでもあっけらかんとしているチャコといるのは息苦しいときもある。 「駅近に何軒かあるけどオススメでいい?」 「任せる」  今日、私たちが宇都宮に来たのは餃子の食べ比べのためだ。はじめに連れられたのは出てしまった改札横のドアを再びくぐってお土産屋を通り過ぎた先の、駅ビルの手前の店だった。通されたのはカウンター、客入りはそこそこ。 「フライもあるの?」 「おいしいよ」  チャコと二人、フライ餃子と焼き餃子を一人前づつシェアする。全部が食べられるオールシングルというメニューもあったけど食べ歩くことを考慮した。届けられた焼き餃子は至って普通の見た目だったけど、フライは写真通りパン粉がついて揚げられていた。「早く食べて」と急かされて一口かじりつく。
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