高3.秋の食べ比べ

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「ふわあ食べた」 「もう一軒は無理だね」  だね、と同意する。馬場通りの有名店に行く予定だったけど重いお腹であの長蛇の列に並ぶ元気はない。電車は相変わらず一時間に一本なので、改札近くのファーストフード店で待つことにした。 「また別れたの?」 「二カ月」  Vサインのチャコ。呆れた、と意味を込めてずずずとシェイクを啜る。 「高橋くん? 星野くんだっけ」  中学ねそれ、とシェイクの蓋を開ける。 「あ、まだ入ってる」  それ、と言われる高橋くんも星野くんもいい男だった気がするけど。 「ていうかチャコも振られるんだ」 「逆! 振ったの」  はいはい、と相づちを打つ。 「もうすぐ受験だからね」  恋多き乙女だけど、勉強を優先する才女はシェイクのすすり方も上品だ。たいして勉強もできないのに、気になる同級生に六年間声をかけられないような私とは何もかも違う。
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