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ただのいつもみてぇな、男なのになよっててぶりっ子なチワワ共と同類かと思っていたが。
…なかなか度胸があるじゃねぇか。
ザワザワと集まってきた生徒達をかき分け不良達に近づく。
「おい」
俺が低い声で呼びかければ、先程までの威勢の良さはすっかりと消え、怯えたように不良どもが振り返った。
「鬼木先輩?!」
桜舞も驚いたように俺を見る。周りのチワワがキャーキャーうるさいのでジロリと睨みつけるとチワワも大人しくなった。
「桜舞が俺達のお気に入りだってのは知ってて絡んでんだろうなぁ」
俺がポン、と茶髪の肩に手を置くと茶髪は体を跳ねさせつつ「い、いやそんな事知らなくて……」と小声で呟いた。
「そ、そうっスよ!俺達この子が生徒会のお気に入りなんて知らなくてただ道に迷ってそうだったんで声掛けただけなんスけど、急に防犯ブザーを……」
金髪がしどろもどろに言い訳を並べる。俺はフン、と鼻を鳴らすと先程の言葉を呟いた。
「『家がヤクザだかなんだか知らないけど威張りくさってムカつく。自分だって裏世界の人間のくせに、何様だよ』、『鬼木がいるせいで自由に遊べないし殴られた、だからお気に入りのお前を酷い目に合わせて憂さ晴らし』……だったか?」
その瞬間、不良どもの顔がさぁっと紙のように青白くなる。
「き、きいて……」
「ちっ、違うんです!!これは───」
茶髪の不良がそう言い終わらないうちに、俺は思い切りみぞおちに膝を入れた。
苦しそうに呻き倒れた茶髪を横目に、金髪を睨みつけ胸ぐらを掴みあげる。
「随分な言い草だったよなぁ、ええ?」
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