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それから数日、何事もなく過ぎていった。
久下くんは相変わらずしょっちゅう俺に話しかけてきては色々と聞いてくる。
久下くんの萌トークとやらは俺には分からないけど、皆俺が生徒会のお気に入りだからって遠巻きに眺めてくるだけの中でこんな風に話しかけてもらえるのは嬉しい。
1つ難点があるとすれば、海斗や梓がサービスだとかいって久下くんの目の前でやたらベタベタする事くらい。その度に久下くんは目を輝かせてメモ帳に何かを書き込んでいる。
1回メモ帳見せてよって言ったけど恐ろしい形相で断られた。……何書いてるんだろ。
とにかく、今日は放課後に生徒会の集まりがある日だ。やはり学年が違うだけあって生徒会のメンバーとはなかなか会う機会はない。
珂神先輩は食堂でご飯を食べているとよく絡みに来るし、憐さんとも部屋が隣なので廊下で会うことくらいはあったけど。
「……桜舞!」
生徒会のドアを開けると、ぱあ、と東先輩が笑顔で俺に抱きついてきた。大型犬がご主人様に会えて嬉しくて駆け寄ってくるような勢いに、よろけないように思わず東先輩を抱きしめ返すような形になった。
しっぽをぶんぶん降っているのが見えるくらいに熱烈な歓迎をしてくる東先輩。
「東先輩、この間ぶりですね」
俺が微笑むと東先輩も俺を抱きしめたままにこにこと頷いた。
「いつの間にそんな仲良くなったの?」
梓が驚いたみたいに俺と東先輩を見てくる。
「説明が難しいんだけど…」
「桜舞、また今度俺のお気に入りの場所にきて…?桜舞なら大歓迎!また膝枕してくれる…?」
説明しようとした矢先、東先輩がキラキラした瞳でそう行ってくる。その言葉に固まったのは梓ではなくて海斗の方だった。
「膝枕?」
海斗が低い声で繰り返す。まずい、海斗の過保護レーダーがまた上がるかも。
「ごめんね、晴ってスキンシップ過多で気に入ったら誰にでもこんな感じなんだ。」
横からすっと春川先輩が入ってきて、べりりと東先輩を引き剥がした。東先輩は物足りなさそうに俺をしゅんとして見ていたけど、晴、という春川先輩の一言で大人しくなる。
そして春川先輩は俺を見て微笑むと、ポンポンと頭を軽く撫でた。
「この前は晴がお世話になりました。どこでも寝ちゃうから僕達も苦労してるんだ、重かったでしょ?体格違うし」
「いえいえ、あの時は俺も暖かくて寝ちゃったのが悪かったんです。……確かに重かったですけど」
俺がそう言うと、春川先輩はふふ、と綺麗に笑った。春川先輩のこの感じいいなぁ…なんというか、イケメンなのには変わりないんだけど常識人感が漂っているっていうか、清潔感のある王子様っぽいというか。
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