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「すみません、待たせてしまいましたね」
声がして振り向くと、神宮路先輩と鬼木先輩と憐さんがドアを開けて入ってきた。3年は授業が長引いたようだ。
「それでは早速本日の生徒会会議を始めましょう。まず桜舞くんと鳴宮くんの編入について」
「俺もですか?」
海斗が言うと、神宮路先輩は当たり前ですと返す。
「確かに狙われそうで危険だと言うのは桜舞くんの方に言いましたが、貴方だって突然編入してきた美形に違いはないんですから。2人とも、何か嫌な目には合っていませんか?」
……一番嫌な目に合わされたのはそこの珂神先輩にです。
とはさすがに言えず、俺は首を横に振る。海斗も特にありませんと答える。
「ふむ、そうですか。それなら安心です。桜舞くんについては、一応私たちの生徒会お気に入り作戦は効いているという事ですかね」
「お気に入りっつっても俺らは何もしてねーだろ。そこのチャラ男は散々食堂で目立つようにベタベタしてたけどよ。親衛隊は大丈夫なのかよ?過激派もいるんだろ」
「それが聞いてくださいよ〜!もう親衛隊の子たちまで鈴ちゃんの可愛さにやられちゃった感じで、全然何も言ってこないんですって!あ、でも確かに最近抱いた可愛い顔した子は取られたって悔しそうにしてましたけどね」
……抱いたって……。
人の前で平気でそういうことを言うんだから。
悪気がないのは見てわかるけど、聞いてるこっちが気まずい。
「…ん、そういえば…俺の親衛隊の子たちも、桜舞可愛いって…言ってた」
「可愛い………」
最近ようやく少し言われ慣れてきたけどやっぱり複雑。男なんだけどなぁ。
「晴の所の親衛隊は温厚な子ばっかりだし心配いらなそうだよね。僕のところも特に目立った動きはないみたいです」
「俺はまず桜舞にベタついてねぇから特に嫉妬もされてねぇだろ。それに俺ん所の親衛隊はチワワみたいなのじゃなくて男臭いヤツばっかだから陰険ないじめもねぇよ」
鬼木先輩がため息をつく。そういえば、初日に挨拶しに来てくれた鬼木先輩の親衛隊の人、頭1つ飛び抜けてがっしりしていた。
鬼木先輩の親衛隊はチワワのような可愛い子たちの集まりと言うよりも、鬼木先輩を「兄貴」と慕うような集まりなのかな。
「私の親衛隊にはしっかりと言い聞かせておりますし、下品な事はしないようにと教育してますから。憐はどうですか?親衛隊に動きは?」
ふふ、と神宮路先輩は目を細めて笑う。……何をしてるんだろう。神宮路先輩は真面目でいい先輩だけど、時々怖い雰囲気を纏うことがあるよなぁ……。
「……すまない、よく分からない…」
憐さんが眉を下げて俺を見る。
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