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「……期待はしてませんでした。憐の他人からの好意や敵意、周りの事に鈍感な所、長所でもあるかもしれませんけどこの世界で生きていくならいい加減治しなさい」
神宮路先輩は大きなため息をつく。
そういえば憐さん、前も鈍感って言われてたな。
「どうすんだよ、お前んとこの親衛隊が一番過激なの多いだろ。しっかりしろよ生徒会長」
「…そう、なのか…?すまない桜舞、何か嫌なことがあったらすぐ俺に言ってほしい」
「あ、いえいえ大丈夫です!本当に何もされてませんから」
慌てて胸の前で手を振る。憐さんの親衛隊からも、特に嫌がらせは受けていない。初日に挨拶しに来てくれた親衛隊隊長が言い聞かせてくれたのかは分からないが。
「そういえば、何という訳でもないが、親衛隊の子から本当に俺は桜舞を気に入っているのか?と聞かれた」
憐さんのその言葉にに神宮路先輩が顔を上げる。
「なんでそんな重要な事もっと早く言わないんです」
「重要なのか?」
「重要でしょう、疑われてるんですよ。本当にお気に入りなのかどうか。……甘かった、私たちを一番よく見ているのは親衛隊です。その親衛隊の前で私たち3年と桜舞くんが殆ど接していなければ疑われるのも当然ですかね」
…疑われて何が悪いことが起こるのかな?俺はきょとんとして神宮路先輩を見つめる。
「親衛隊隊長はよく教育が行き届いていますから、私たちがこういえばそれを100で信じてくれますけど、親衛隊の末端にまではその教えは行き届いていないでしょう。
その子たちが疑いだしたら必ず綻びが出来、推測という名の悪の噂が流れます。
例えば桜舞くんは本当はお気に入りでもなんでもなくて、生徒会の弱みを握って脅しているんだ、とか、生徒会の皆様を体で誑かしたんだ、とか。
その先は暴走です。
自分が生徒会の皆様の邪魔者を排除しなければいけないと勝手に動き出します。人の想いというのは強ければ強いほど厄介です。」
それを聞いて東先輩や春川先輩、珂神先輩が心配そうな顔で俺を見る。
神宮路先輩は頭に手を当てて何かを考えるような素振りをしている。
「それなら俺達が桜舞とちゃんとイチャイチャ?すればいいんじゃないか?」
憐さんの言葉に次は神宮路先輩と鬼木先輩が憐さんを見る。
「……それしかないですよね。男趣味はありませんが私達も珂神と同じような感じで……」
「俺は嫌だぞ」
鬼木先輩が怒ったような顔で俺を睨む。
俺のせいでごめんなさい…。
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