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■鬼木視点
昼食を食べ終え、ブラブラと人の少ないところを散歩していたら顔を真っ赤にして全速力で駆け抜けていく桜舞を見かけた。
この時間は確か風見と昼食の計画じゃなかったか?
俺は頭の隅でそんな事を考えながら桜舞を目で追う。
……おいおい、そっちは人気のねぇ校舎裏だぞ。そんなとこにお前みたいなやつが1人でフラフラしてたら絶対絡まれるだろ。
桜舞が来てから面倒なことばかりだと舌打ちをする。こんな学園に入学させられ、男同士で乳くりあう連中がいることに引きつつも自分の家柄と体格でなんとか自分の身を守ってきたというのに。
周りが男しかいなかろうがそれが男同士でイチャつく理由になるかよ、と俺は思うが実質そういう奴が多いんだからそうなんだろう。
大体桜舞を今助けに行く必要もあるのか?と足を一瞬止めたが、頭の中に神宮寺の冷ややかな目が浮かび上がり仕方なく歩を進めた。
アイツ、幼馴染で俺の父親と仲良いだかなんだか知らないが小言が多すぎる。母ちゃんかよとまた悪態を着いて目を凝らして桜舞を探す。
──── 、いた。
いたと思ったら案の定金髪と茶髪の不良みてぇなのに絡まれてやがる。呼びかけてビビらせてやろうかと思ったその時、不良どもの言葉に俺は固まった。
「別に君に恨みはないんだけどね。俺たちじゃなくて鬼木を恨んでよ。アイツ、家がヤクザだかなんだか知らないけど威張りくさってムカつくわけ。自分だって裏世界の人間のくせに、何様だよって思うじゃん」
「俺達三年もさぁ、もっと自由に遊びたいわけよ。それがアイツがいるせいで何も出来ねーし、何より俺なんて殴られたことあんだぜ?
そこでよ。鬼木のお気に入りのお前に酷いことしちゃって憂さ晴らししよっかなって。心配すんなよ、痛いことはお前が暴れない限りなるべくしねーからさ」
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