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朝、目覚ましの音で目が覚める。結局邪魔しかしなかった癖にちゃっかり泊まって言った海斗の寝顔を顔を顰めて見たあと、布団の中から這い出た。
荷物を運んでくれるらしい業者が来るまで後2時間。急ぐ必要もないが、問題はコイツだ。
海斗は寝起きが死ぬほど悪い。起こすのに時間がかかる。これは小さい頃からなので俺は慣れてしまったけど。
「海斗起きろよ」
ゆさゆさと思い切り体を揺らすがくぐもった呻き声が帰ってくるだけで起きる気配もない。掛け布団を剥ぎ取ったり、軽く蹴ってみたりしたけど反応なし。
……また、アレをしなきゃいけないのか。
俺は顔を手で覆った。
小さい頃からずっと続けてきたおまじないのようなもので、俺といる時の海斗は俺から頬にキスされないと起き上がろうとしないのだ。
小さいうちはまだよかったが、大きくなってからは絵面的におかしいと拒否しても駄々を捏ねて一向に辞めないし。
はぁ、とため息を着きながら頬に軽く口をつけるとさっきまでうんともすんとも言わなかった海斗の目がパチリと開いた。
「……お前わざとやってるだろ」
俺がぶすくれた顔でそういうと、なんの話しかなぁ、と海斗は頭をかいた。
何でこいつ俺の前ではこうなんだろう。他の奴らの前ではもっと落ち着いてて、カッコイイ感じなのに。なんでこんなに俺の前だと残念なんだろう。
俺はそう思いながらも、海斗を布団から追いやると布団を畳んで袋にいれ、押し入れに詰め込んだ。
その他にも昨日出来なかった小物を片付けていると、あっという間に業者がやってくる。あれこれ頼んでトラックに積み上げると、後ろから高そうな車がやってきて俺の家の前で停まった。
「海斗様、桜舞様、お迎えに上がりました」
どうやら海斗の家の車らしい。海斗に手を引かれるまま車に載せられ、俺達は学園へと向かった。
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