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「タケ!はよっ!」
声が聞こえてとりあえず返事をする。
ちらっと見ると案の定モトは満面の笑みで、開きかけた口を閉じた。
「先輩たち大会近いし、朝練してるらしいんだけどさー!」
隣でにこにこ笑うモトは本当、バスケのことを話す時幸せそうだ。まぁ、彼女のことを話す時はもっとデレるけど。
「あ、タケもちゃんとバッシュ持ってきてんじゃん!お前とプレーすんの楽しみー!」
ちょっとウザいと思った時、どうしたらこいつは黙るんだろうか。
「なぁ、ちょっと早く学校着くじゃん?体育館覗かね?」
「1人で行け」
「えー!絶対ぇテンション上がるぞ?」
お前のテンションがもう上がり過ぎててウザいんだよ。とはさすがに言わないでおく。
「眠いし、教室居るわ」
あくびをして前を向くと、モトはちょっと顔を覗き込んできた。
「あ、マジで寝不足?」
ニヤリと笑われて目を細めるとモトはハハッと声をあげる。
「そんなバスケすんの楽しみか!」
「違ぇわ」
「ん?好きな子居んの?」
モトのそのキョトンとした顔を見るとちょっとイラッとした。
マジで頭の中にはバスケと恋愛しかないらしい。
無視してペダルを漕ぐのを速めると、モトは騒ぎながら追いかけてきた。
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