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モノローグ
拝啓 空良へ
ねぇ、覚えているかな?
君が『僕たちはとてもよく似ている双子だから双子らしい遊びをしよっか』と言い出して以来、僕たちはずっと無邪気な子供を装ってずっと周りを翻弄して遊んでいたのを。
今更だけど、本当はそういうのあまり好きじゃなかったんだ。
だけど、空良があまりにも楽しそうだったから僕は何も言えなかった。
だって、僕は君がとても大好きで何より大事な弟だったから言いづらかったんだよ。ごめんね、今まで内緒にしていて。
僕はね、君が隣りにいてくれたらそれだけで本当に良かったんだ。
それは永遠だと思ってた。
ずっと続くものだと思ってた。
けれど、……あんまりだよ。
いきなり知り合いの石油王に嫁ぎに行くとか言いだして、僕が止める暇もなく飛び出すように家を出たかと思ったら――――飛行機事故に遭うなんて。
そんなのってないよ。
ねぇ、空良。この先、僕はどうしたら良いのかな。名前の通り、澄み切った青空のような空良空良のようになりたかったのに、僕はいまだ真昼の空にも闇を統べる夜の空にもなれないでいる。
そう、いつまでも僕はどちらにも染まる事のない中途半端な夕焼けなんだ。
空良。
ああ、空良。
可愛くて、無邪気な子供のように純粋な空良。
僕はそんな君の真似が出来ていたかい?
だけど、夢物語は終わってしまった。
化けの皮はいつか剥がれおちるんだ。
それならいっそ、曝け出してみようか。
俺はさ、きっと今がその時なんじゃねぇのかなって思うんだ。
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