8人が本棚に入れています
本棚に追加
うん、可愛い。
店で試着させた時もいいって思ったんだけど、改めてきちんと着せて、髪をセットするとすごくいい。こんないい男、他にいるかしら。
満足して腕を組んで眺めてると、鏡を覗いていたマオは不安そうにあたしを振り返る。
「大丈夫っすか、俺」
「大丈夫。どこから見ても、最高の男よ」
笑って言ってあげる。
最高に決まってるじゃない。あたしが選んだ服を着てる、あたしが選んだ男なんだもの。
この間までミルクティーベージュだった髪は、今は黒髪。就職するにあたって、それはちゃんと自分で決めた。いかにもホストっぽかったナチュラルウルフも少しだけ短くカットして、清潔感もある。
前髪はまだ少し長め。それは、あたしがそのままにしなさいよ、ってアドバイスした。だってその方が、色っぽくて綺麗な垂れ目にかかってセクシーだから。前髪なんて、セットでどうにでもなるもの。
「ホスト感ないですか? 俺」
「ないわよ?」
「そうすか? ……不安だなぁ」
そう呟きながら、また鏡を見てる。
「何かもう、俺がスーツ着るだけでホストに見える気がするんですけど」
「バカねぇ。全部のスーツがホスト仕様じゃないのよ?」
最初のコメントを投稿しよう!