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本当は、2月の末に面接に行くはずだったのよね。介護職に興味を持ったみたいだったから、あたしの勤め先グループがやってる、有料老人ホームを紹介した。
「あんたねぇ、2ヶ月もズレたんだから、今更緊張しないで?」
「だから緊張するんすよ……待ってもらっちゃって……プレッシャーが」
そうも考えられる、か。ある意味身から出た錆で刺されたんだものね。
結構な重傷だったから、退院してからうちで面倒みてたのよ。一人にするのはあたしが心配だったから。うちに来なさい、って命令して。
退院イコール完治じゃないんだから。とりあえず傷口が塞がったってだけ。まだまだ動けば痛かったし、一人でほっといたら、ロクなもの食べないに決まってる。
お陰で、久し振りにお母さん気分味わっちゃった。
毎日、仕事から帰ると背の高い可愛い男の子が待ってて、作ったご飯食べてくれるのよ。
しかも、息子じゃなくて彼氏なんだから、楽しいわよね。息子なら腹が立つことも、マオなら可愛いもの。
息子だったら、28にもなって一緒に寝ないしね?
なんて、恵美子に話したら呆れ果ててたけど。
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