いじめられっ子だった私は悪役令嬢となってさえ、貫き通さねばならないのです!

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 私が生まれる前から幾度かこの国は外征を行っていますけれど、生まれてからは二度ありました。この街からも出征者を出しましたよね……ご存じない? そうですか。父はいちばん最近の戦役に参加しまして……それで傷を負ったのです。戦傷は名誉として王国は取り計らってくださいましたが、私の家へはそれから滅多に人が寄りつかなくなりました。父は顔面に傷を負い、その異形を恐れられ、あるいは嫌悪されるようになったのです。朗らかだった父の記憶はありますが、いまはいつも暗い顔をしています。外に出るのを嫌がるようになり、家の周りは荒れ、ただでさえ人々から切り離されるようになった私の家は雑木と雑草に覆われるまでになりました。いつしか私は魔女だとか悪魔だとか、汚れ者だとか呼ばれるようになりました。孤独になって家にも居づらく外にも落ち着くところなく悲しく時を過ごす私を見て父はますますこころを荒ませてゆきます……。最近行き着く先としてこの場所を見つけました。街を見下ろし郊外まで望め、そうして滅多に人のいないここに。どうしても、どうしてもこの悪循環を抜け出せずかげってゆく私と私の家を見つめる場所として、ここに……。
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