<下の巻> 夢

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<下の巻> 夢

折り紙の一族の流した数多の血 真っ赤な紙吹雪となって空に舞い上がり美しくも埋め尽くす 突然誰が火を放ったのか紙の血の数万片が燃え出した 炎は急速に広がり空を埋め尽くす兆を越す紙の血に燃え移りゆく 時は黄昏(たそがれ)(はかな)い時空 炎に包まれ舞い散る紙の血、次々と燃え移る紙の血吹雪 追いすがるように下から舞い上がる赤い紙の大群 夜に入ると暗い空を真っ赤に染めて 燃える紙の血は人の街に襲いかかり大火となって反逆した 折り紙の一族は燃え尽き人の一族は半数が生き残った 生き残った人々は皆紙の血の病を患っていた かくして紙の血の病は折り紙の一族から人の一族へと移り住み 自らの生命を維持することに成功したのだった
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