菜々ちゃん

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菜々ちゃん

それからも僕たちは、雨が降っている夜を除いて、毎晩、弥々木公園でシャドー練習を続けた。 夜の静寂(しじま)にはただひたすらに僕らの声が響いていたのだろう。 ある夜、1人の女の子が僕らの前に現れたんだ。 背はちっちゃめだけど小顔でモデルのようなポニーテールの美少女。 暗がりの中、ドット柄のシャツとデニムのホットパンツがとても似合っている。 僕らの前に陣取って、僕らのネタを見てにっこりと笑っているではないか! 自称・イケメンで女ったらしの京平はさっそくネタが終わると声をかけた。 「面白かった?」 「フフ・・・面白くない」 「うへっ、そっか。面白くないか」京平は肩を落とした。 「面白くなくもない」そういって美少女は踵を返した。 「うん・・・? まいっか・・・」 しかし次の日の夜にもまた、同じポニーテールの子が現れた。 「どうもーノーヴェンバーでしたー」とコントが終わると京平は女の子に声をかけた。 「どうだった? 今日も面白くない?」 「うん。面白くない」でも顔は笑っていた。 イケメンで多分通用する京平は、チャラいところもあって女の子に興味津津。 「そっかー、じゃあ、なんで昨日も今日も見に来てくれたのかな?」 「別に・・・」 「ふーん。でも見てくれて嬉しいよ。ありがとね」京平と僕は頭を下げた。  
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