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加藤さん 1
加藤さんはずいぶん年上だけど、
あまりにもイケメンだから、
見るとドキドキする。
彼にはオーラがある。
何と言うか、
刑事ドラマに出てくる凄みのある、でも、
笑うとちょっと優しい感じの
イケメンヤクザ風。
彼の職業は知らない。
とにかく、気前がいい。
大勢で騒いで飲むのが好きらしく、
いつも女の子達に囲まれている。
わたしの働いてる
このナイトクラブのほとんどの女の子達は
加藤さんに夢中。
加藤さんに指名して欲しくて、
みんな競争してる。
わたしは
コンパニオンにしては
もの凄くシャイでした。
何でこんな仕事してんだよっっっって
突っ込みを入れたくなりますが、
当時は、そういう職業に就いておりました。
わたしは加藤さんが苦手でした。
遠くから見ていれば問題ないのですが、
近くに寄ると 何とも威圧感。。。。
恐ろしくて、話なんて出来るわけがない。
声なんてかけられたら
跳び上がって、声が裏返るんじゃないかと心配で、
気付かれないように
なるべく遠くに座っていました。
だから、
加藤さんと女の子達とアフター
(お店が終わっても、お客さんの接客だよ。何でかな〜) の時も、
加藤さんと付き合えるわけでもないし、、、
やる気のないわたしは
お家帰りたい。。。
と 考えておりました。
よし、二次会行くか!
加藤さん、良い気分です。
何故かわたしの腕を掴んで
タクシーに乗りました。
加藤さんが乗せた女の子は、わたしだけ。
わたし 頭 真っ白。。。。。
血の気がサーッと引いて行きました。
加藤さん、女の子達に何か言っていましたが、
わたしには聞こえない。
他の女の子達の残念がっていた声が、聞こえただけでした。
ええええええええ‼︎‼︎
あたしと加藤さん、二人きり‼︎
夜中のタクシー。
あたし、どうしたら、良いんですか?
横顔を見る。
怖いイケメン。
。。。。。。
しばらくの沈黙。
加藤さん
帰るか?家は何処だ。
わたし( 心の声) ええええ? 夢も見させて貰えないんですか?
残念に思うわたし。
加藤さん
悪いな。付き合わせちまって。
それにしてもお前ぇ、
全然 魅力ねえなぁ。
わたし凹む。
加藤さん
悪いな。俺、口悪くてよ。
また沈黙。
オカマバー行くか。
唐突である。
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