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次の日、美崎とバスに乗り宮内さんの家を訪ねることにした。 庭先には、倉庫があって、大きな自慢のバイクが2台置いてあった。宮内さんは無精髭を生やして体型もふっくらしていた。あの時とはかなり違っていたが、親しみのある目元は写真と同じだ。 部屋に上がるよう進められたが断った。今更、話なんか聞きたくなかった。 「何度か東京にも行ったけど…忘れたよね。 大変だったね。 」宮内さんは、気まずそうに、僕の病気を気遣う様子がわかった。 「あれが写真のバイクですか?」僕は倉庫にあるバイクを指して言った。 案内しますよと宮内さんはニヤリとした。 「これ としが乗ってたやつだよ。俺が修理しといた。もしかしたら、としが来るかも知れないかと思って。 僕の父が使ってた中古だったけどさ」 急に馴れ馴れしく僕のことを とし 呼ばわりした。 「僕は…君とバイクに乗ってたんだね?」 宮内さんは僕の目を覗き込んだ。“話したらもっとひどい状態になるかも知れない ”そんな目だ。みんなと同じ目をした。 「本当のこと…頼むよ。大丈夫だから」 「そうか。じゃあ遠慮なく。君は明恵さんを家に下ろしたあと…君のたった一人の家族だったお父さんが亡くなったと病院から連絡を受けたんだ…。急いでたんだろう。カーブを曲がり損ねて、転倒して崖から…その。そのあと色々あって…記憶が…」 話はよくわからなかったが、どうも僕はバイクに乗っていて、記憶が消えたようだ。 「どうして僕が明恵を送って?」 「…付き合ってたんだよお前らは!俺より君が好きだったんだよ。俺はお前に嫉妬したけど、お前は頭もいいし顔もいいし優しいからな…俺とは出来が違う。お前をぶん殴ってやろうかと思ったよ 」宮内さんは照れながら笑った。 「…」 僕は全く逆だと思っていたから、信じられなかった。でも宮内という男は信用できるいい男だと感じた。
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