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“こんな頼りない僕より…こいつの方を選べば幸せになれたのに…” 美崎は…後ろを向いていたが、鼻水をすする音がした。 「乗ってみないか?」 “何か思い出すかも知れない” 僕は死ぬつもりでいるのに、まだそんなことを思ってる…なんて未練がましい奴だ僕は。 僕は後ろに乗せてもらった。バイクはゆっくりと広い庭を回った。 「だいじょーぶー?」美崎が心配していた。 エンジンの音でよく聞こえない。 なんて気持ちいいんだ。後頭部からスーツと引っ張られる感じがたまらない。でも何とも言えない快感を覚えた。そのまま僕らは、近隣の農道から日光街道へと入って行った。 この男に会って死ぬつもりだったが、拍子抜けした。 僕は、アパートに帰ったら死ねばいいやと思い直した。
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