魔女の悲恋は続くよ、どこまでも?

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魔女の悲恋は続くよ、どこまでも?

二宮 真紀。22歳。 魔女の生まれ変わり。 「何言ってるんだ」って言われるだろうから、誰にもカミングアウトはしていない。 運命の人に出会うため、もう四度も転生している。 四度目で生まれ変わった日本は、平和だしおいしいお菓子もあるし、アニメも漫画もゲームもあって最高に幸せ! それに、私を愛してくれる彼氏もいる。 今度こそ、これで転生はおしまいだと思うの。 だって、彼氏のコウセイはとても優しくて私を愛してくれている。 『真紀のことが好きだから、仕事しないで毎日連絡が取れるようにするね』 そんなことを言ってくれるのよ?どれだけ私のことが好きなの?お金はないけれど、それも私が稼いでお小遣いを渡してあげれば解決。 今世こそ、愛し愛されて幸せになれるかもしれない。 仕事帰り、私はうきうき気分でコウセイのマンションへと向かった。 けれど そこで見たものは 高級外車に乗った女に送られてくるコウセイの姿。 『またね、愛しているよ』 派手な女にそんな言葉をささやき、そしてマンションの前で堂々とキスをするコウセイ。 見間違え? ううん、絶対にあれは私の彼氏。 持っていた高級焼肉弁当の袋をドサッと落とした私は、そのまま何も言わずに走り去った。 夜の街は、カップルや学生で賑わっている。 猛ダッシュで歩道を駆け抜ける私は、完全に浮いていた。でもそれどころじゃあない。 「なんで?愛しているって言ってくれたのに!私にだけじゃなかったの!?」 涙がボロボロと零れてくる。 許せない。 でも一番許せないのは、 四度も転生しているのに、自分に都合のいい言葉だけをくれる人をまた選んでしまった自分。 違う。 またまたまた選んでしまったのだ。 王子に始まり、大公殿下に石油王、そしてアイドル、劇団員の卵だったコウセイ。 いつだって私の恋する相手は顔面ハイスペックで、いつだって私のことを本気で愛してくれなかった。 わかっていた。 多分今回もまたそうだって。 甘い言葉を囁かれるたびに、心のどこかでは嘘だろうって疑っていた。 だとしても それでも今度こそはって思いたかった。 「コウセイのばかやろー!!!!」 涙ながらにそう叫び、私は猛ダッシュで街を駆け抜ける。 そして 見事なまでにすっころんで 頭を打って絶命した。 あぁ、神様。魔女が神頼みするのも変ですが、今度こそ私を愛してくれる人に出会わせてください……
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