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バスが止まる。周りの心配をよそに、佳音が降りる撮影隊の後に続いて。ビルに入るまでの短い距離。譲に寄りかかって歩いた。入ってからは、引きずられて。
職員に案内されて、エレベーターで上がる。止まった階で降りる。廊下の先の小窓。遠くまで、見渡せる。
「絶景かな~! 絶景かな~!」
「富士山、見える?」
「玲於奈、富士山、好きな」
「絵画みたいだな」
「小窓だけに?」
「飾ってやろうか?」
「スウ、スウ……」
わらわら、と、小窓の方へ。旭がはしゃぎ、玲於奈が訊いた。譲が笑う。始が感想を述べて、大樹がボケる。学がツッコミ、佳音が寝息を言葉にする。
「皆さん、時間が押しているの。判ってますよね」
後ろから発せられる。マネージャーの佐伯 一朗(さえき いちろう)の声。低くくて、怖い。慌てて、戻った。
リーダーの学と一朗が職員に謝る。
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