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「皮をむくのが、面倒くさい。手が汚れる、といった理由で若い方たちに敬遠されますが。果物は、朝に食べると金の価値。昼に食べると、銀の価値。夕に食べると、銅の価値があると言われています。我々も、一人でも多くの方に食べていただけるように。工夫をこらしました。是非、召し上がってみてください」
締め括られた委員長の挨拶。同時に、開かれた鍋の蓋。広がるスパイスの香り。
パチッと、佳音は目を覚ます。一直線に、テーブルの前に進む。勢いに押されたお姉さまが、深皿によそう。ご飯とカレーを。果物を使っているため。普段、食べているカレーライスと、色と香りが違った。
「おなか、空いた」
隣に立った玲於奈も求める。佳音と共に、カレーライスが盛られた深皿とスプーンを受け取った。
「あっ! 待って。乾杯がまだ……」
「カレーは、飲み物!」
「カンパーイ!」
旭が止める。佳音が言い切る。玲於奈が深皿を掲げた。
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