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気になること
「・・・おどろいた・・・よね?」
「ふ、ふーん、そんなこともあるもんなんだね」
「え、怖くないの?」
「驚いたけど、普通ってかんじ」
オレは強がった。だって高1のオレが幽霊怖いとか言ってたらかっこ悪いって言葉が頭を走ってだからズボンのポケットに手を入れて平気な顔をしてなんとか花火に目を向けた。
「ホラ、花火観ようよ」
「うんそうだね」
このあと花火はあっさり終わり・・・オレの気持ちの問題かもしれないけど、とにかく幽霊の葵と別れて家に帰った。
自分の部屋で今日一日の事を整理する。まさか幽霊と会うなんて、悪そうには感じないからよかったっちゃよかったけど。そんな不安なオレだけど次の日も池で花火が観ることが出来る。観ないわけにはいかない、楽しみだから。そんなわけで午後6時頃に葵のことも気にしながら湖に行くとやっぱり同じ場所に彼女はいた。
「あ、大輔くん」
「や、やあ、今日も花火みにきたんだ」
一度話したからか笑顔の葵、オレは〜・・・正直自分の気持ちがまだよくわからない。ただせっかく花火を観るんだしそんなに警戒するのは損、だから楽しもうと、さっそく色とりどりの花火が上がる。
「お、花火だ、ちょっと遠いか」
「でも綺麗だね」
昨日よりは小さく観える花火は準備のためだろう静かに。
「・・・待ってるこの時間がじれったいんだよな〜」
体感からして5分くらいにまた花火が今度は大きな赤い花火、尾を引いていない。
「牡丹、だよね?」
「うん、そう、牡丹」
「やった、私もわかってきたかも」
楽しそうな横顔。やっぱりオレとしては彼女が悪い幽霊だとは感じないし、いい子だ。なのになぜ幽霊になってしまったのか気にってくる。
「ねぇ、あれはなにっ!」
「んあ? あぁ〜あれはキャラクターの花火で」
「ネコだよねっ、カワイイッ!」
葵はキャラクターの花火でテンションが上がって、このあともカエルとか牛とかの花火に興奮していた。
「あ〜終わっちゃった」
「また少し待てば」
「ホント、じれったいね」
「え、うん・・・」
「なに? さっきからジロジロみて」
「いや、別に」
花火の音とともに彼女が緑色に。
「フフッ、気になるんでしょ、私がどうして死んだか」
「あ、その・・・ちょっとね」
優しくしてくれたからと葵は右手首の袖をめくると、
「リスト、カット・・・」
「うん、わたし自殺したの、15年前に・・・」
痛々しい傷跡。オレは頭が真っ白でまるで時が止まったよう、それでも花火だけは鳴り続けた・・・。
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