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大地主である狐森の家が全焼したという話は、すぐに近隣の村中に広まった。
他の家とは離れた広い土地にある家であったから、火事と気付かれるのが遅れ、屋敷にいた殆どの者が焼け死んだという。運良く逃れ切った使用人の話によれば、「お狐様の間から火が出て、一瞬のうちに屋敷中に燃え広がった」と話していたらしい。
後日、原因究明のために調査が行われたものの、よほど強い炎であったためか男女の区別もつかぬ遺体しか発見されなかった。狐森家の奥方は元より、大切にされてきた二体の狐像も、終ぞ見つからなかったという。
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