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今日のご飯はなんじゃろな。あーそういえば昨日買っていた鶏肉、まだ半分くらい残っていたか。となると◎唐揚げ、〇照り焼き、×チーズタッカルビといったところか…。
頭の中の予想士の話を聞きながら、自室のあるアパートの2階へと上がっていく。今時珍しい、鉄筋製の赤さびた野晒し階段。今まで何百回、何千回と登ってきた階段。
「あーもー、社会人になったら、絶対ピカピカのエレベーター付きの駅近マンションに住んでやるんだから。」
この愚痴も何百回言ったであろうか。いつもと同じ階段、いつもと同じ独り言。
しかし、今まで何千回と同じことをやってきて、何千回同じ結果だったとしても、次の一回が同じ結果になるとは限らない。
パァッーーー!!!
耳を劈くようなクラクションが後方でなる。それに一瞬だけ気を取られ、少しだけ重心が後ろに寄る。そして、足が自分の支配下から外れ、前に進み始め、宙に浮いた。そこからはすごくゆっくりに感じた。頬を一筋の雨が伝う。遠くには雲の切れ間から月明りが覗いていた。そして、目の前が闇に覆われた。
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