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ピッ…ピッ…ピッ…ピッ…
この音は、聞いたことがある。確か、ドラマだ。何のドラマだっけ、、確か、、、病院の、、、、、
ハッと目が覚める。白い天井。見知らぬ天井。しかし今自分が置かれている状況は直感で感じとった。
自分は今、病院のベッドで寝ているのだ。そして、最後に見た景色を思い出す。ああ、やってしまったんだなあ。
辺りをゆっくりと見回す。すると、長身の男性が椅子に座っているのが見えた。私より一回りは年上だろうか。
「あ、おはようございます。」
こちらが発見するのとほぼ同時に挨拶が飛んできた。
「体調は大丈夫ですか? あ、自分は、階段の下で倒れているあなたを見つけて、救急車を呼んだものです。」
一体誰なのだろうと思ったところに聞きたかった答えがストレートに帰ってきた。アパートの人かな。見たことがあるような気がするけど、ピンと来ない。
そして自分の体調を確かめる。とりあえず、痺れているところはない。特に痛いところもない。本当に怪我したのか疑うくらいには快調だ。
「あ、はい大丈夫です、、、あの、私どれくらいの間寝ていたんでしょうか…?」
「ああ、ええっと、大体2週間くらいですね。話によると外傷は大体治っていて、目が覚めるのを待っていたところみたいですよ。」
2週間というのが一般的に長いのかどうかはわからないが、私にはとても長い時間に感じた。え、ということはこの人もしかして、
「そうなんですね、ありがとうございます。あの、もしかして毎日お見舞いに来ていただいてくれていたんですか?」
「ええまあ、出社前の時間だけですけどね、ある意味ラッキーでした。」
わずかに微笑みながら返ってくる返答。なんか、すごく申し訳なくなってきた。というかヤバイ、イケメンすぎひん?
「すいません!見ず知らずの私なんかのために毎日来ていただいて。本当にありがとうございます!」
軽い会釈が返ってくる。やばい、何か気持ちが溢れてきた。
「いや、本当にありがとうございます!ほんと、カッコいいです!大輝なんかよりよっぽど!あいつ私が風邪で寝込んでいても、顔の一つも見せやしないんだから!あ、大輝ってのは私の彼氏で…」
と、ここで、複雑そうな、困ったような顔が目に入り、ハッと我に返る。待って、恥ずかしすぎる。
「あの、、、すいません、、、」
「・・・いや、大丈夫だよ。元気そうでなにより。そしたら僕はそろそろ行くね。」
「あ、はい!ありがとうございました。」
「ううん、元気にしてね。…また、明日。」
最後にそう残して、お兄さんは去っていった。ここで、名前を聞いていなかったことに気づく。まあ、また明日も来てくれるって言っていたし、その時に聞けばいいか!・・・明日も来てくれるのか、ほんとに優しいかよ。
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