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その後程なくして医者の人が来て、簡単な診察を行ってもらった。寝ている間にけがの程度などは確認していたとかで、意識や記憶の確認などがほとんどであり、本当にびっくりするくらい簡単に終わってしまった。もっと長いことやるものだと思っていたけど、あれはドラマの世界だけなのかしら。
しばらくは経過観察とのことだったが、正直すぐにでも退院できるような気持ちでいっぱいだった。しかし、トイレに行くために階段の上り下りをしただけですごく息が上がり、その認識を改めることとなった。
おまけにトイレで見た顔はひどく老けて見えた。これが2週間も手入れせずに寝ていた顔かと思わされる老け顔。お母さんーハト麦化粧水を持ってきてください泣
トイレから戻る途中、階段の踊り場でお爺さんがスマホを横にして、何か映像を見ていた。ほほう、中々の手練れ。でもお爺さん、イヤホン外れていますよ。お爺さんは気づく様子もなく、辺りに音が垂れ流される。どうやらニュース番組の特集コーナーのようだ。
「今日は映えるタピオカ特集!皆さん、タピってますか?」
すると間もなく、看護師さんが血相を変えて飛んできた。スマホ使用厳禁のエリアだったようだ。お爺さん、ご愁傷様。
それにしてもたった2週間で造語が出てくる出てくる。よく考えるものよねえ。タピるとか映え・・・
ググゥーーー
考えを吹き飛ばすような腹の音が響いた。うん、どうでもいいな。そんなことより、腹が、減った。
部屋に戻るとお昼の時間がやってきた。病院食は嫌いだ。昔脳震盪で倒れた時に数日だけ食べたが、味は薄いし、何より量が足りん。
それでもそれしか食うものもないので、おとなしく箸を進める。こちとら腹が減っているんでい。
・・・あれ?全然食べられん。おなかは空いていたのに。なんでこんなにおなか一杯に感じるの?
再度、2週間の重みを味あわされた瞬間であった。まあ、完食はしたのだけど。
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