太陽の暗闇

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1  夕闇が田園地帯の小高い丘を覆っていた。年老いた男が庭でバラの手入れをしていると、ポケットのスマートフォンが振動した。 『ヴェガ、到着』  老人は軍手を脱いで指笛を吹いた。母家からトコトコと1匹のテリアがやってきた。  老人が門を開けると1台の車が入って来た。運転席の女性は、スマホにかかりっきりだった。老人がフロントガラスをコツコツとノックすると、女性はびっくりしてようやくスマホから視線を上げ、サイドウインドウが開いた。 「あら、もう着いてたの?ハイ、パパ!」  老人は、腕組みをしてため息をついた。 「運転中くらい、スマホを置いたらどうだ?」 「だって、自動運転なんだから」 「せっかくのコッツウォルズの田園風景は?」 「もう見飽きたわ。ステラは?」  老人はぴょんぴょんジャンプしているテリアを抱き上げた。 「わあ、ステラ!久しぶり!」
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