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「お客様、これは受け取れません」
と彼女は俺に突き返した。
「えっ?どうしてだ?他の女は喜んで受け取るぞ…俺は御曹司だ…嬉しくないのか?」
「用はそれだけですか?」
久保さんは強い口調で訊いた。
「え、あ…」
俺は彼女に迫力負けして、口を噤む。
「なければ…これで失礼します…」
久保さんは踵を返して帰っていく。
俺の運命の女が遠ざかる。
――――俺は振られたのか?
いや、そんなコトは・・・
こんな風に女性に冷たくあしらわれたのは生まれて初めての経験。
全てが初めて尽くしだった。
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