プロローグ*二人のはじまり

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無事に離陸して、空へと舞い上がり、夜の闇へと機体が切り込んでいく。 「ウェルカムドリンクです。何に致しますか?」 私はワゴンを引き、機内を回った。 先ほどの苦手な若い男に話し掛ける。 「コーヒーで」 低く響く声はとてもイケボ。 革靴を脱ぎ、長い脚を投げだし、寛いでいた。 「畏まりました」 「君の名前は?久保葵か…」 「え、あ・・・はい」 彼は私のネームプレートをジッと見つめる。 「俺のコト知ってるよな…」 「!?」 私は首を傾げて彼を見る。 「…俺の名前知らないのか?へぇー…俺を知らない『エンペラー航空』のCAが居るんだな」
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