プロローグ*二人のはじまり

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自分は有名人だと勘違いしている傲慢なオトコ。 「宇佐美充斗(ウサミジュウト)だ。久保さん」 皆が言っていた「フロンティア」の御曹司か… 「…よろしくお願いします。宇佐美さん」 私は適当に挨拶をした。 「君は驚かないのか?」 「どうぞ…お飲みください」と素っ気なくコーヒーを置いて行った。 「おいっ!?ちょっと待て…」 宇佐美さんは私の袖を掴んだ。 「何だ!?その冷たい態度は…」 「副社長…」 後ろのシートに座っていた男性が立ち上がり、宇佐美さんを窘めた。 「何だ?柏原」 「彼女の仕事の邪魔になってますよ…」 「…俺は別に邪魔したワケでは・・・」 彼はシュンと反省の色を見せ、私の袖から手を離した。 「申し訳ありません…副社長が仕事の邪魔を致しまして」 「いえ…」 「私は秘書の柏原です…久保さん」 「よろしくお願いします。久保葵です…宇佐美さん、柏原さん…快適な空の旅をお過ごしください」 私の塩対応が逆に彼の興味をそそったようだ。 厄介な男性に目をつけられたかもしれない・・・
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