92人が本棚に入れています
本棚に追加
/435ページ
仕方なくローブを羽織って脱衣所に向かうと、ユカが湯を張り直して、救急箱を用意して待っていた。
「お疲れ様でした、相変わらずドMですね」
「はは、今に始まったことじゃないし」
救急箱を受け取って、ローブを脱いでバスルームに入る。
骨盤の中がだるく、重い感じがあり、腹も痛い。全身の関節が軋み、熱っぽい感じがする。
鏡で見るとあちこち痣ができている。
全身を軽く流して浴槽に浸かったのを見計らってユカが「お夜食、玲さんが食べられるものにしたので、上がったらダイニングにいらしてくださいね」と声をかけてきた。
「具体的には何が出るのかな」
「水気の多い中華粥とうすーく切った豆腐の薄味のお汁ですね」
前にも出してもらったことがあるメニューだ。
「もうなんかもう病人の食事だよねえ」
自分でも、ちょっとどうかと思うと笑えた。
「でも玲さん、食べるときは確実に食べられて、戻すのに苦じゃない食べ物じゃないとダメじゃないですか。笑い事じゃないですよ」
「すみませんね、お気遣いいただきまして」
扉越しに会話を続ける。
おそらくユカはおれが入浴中に寝入ってしまわないか様子を見ている。
「いえ、それさえも受け付けない時期もありましたし、それから思えば今は少しマシですから」
最初のコメントを投稿しよう!