【2020/05 教育】

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《第二週 水曜日 深夜》 もう、何事もなくここでの日々は終われない気がした。 あと、おれを何故此処に行かせたのか、問い質さないと。 今日まで、まだ三日目なのに、もう散々翻弄されている。 今日だって、実習を前に一度ならず、二度も。 スマートフォンで飯野さん宛にメールを送ったが、返事が来ない。 授業が終わってひとりになって思い返すと、振られたようなものなのに、先生と関わらざるを得ないのがつらい、気が重い。 そして藤川先生に性的欲望と好意を持ってしまったこと、そして振り回されて振られたことは、誰にも知られてはいけない。 せめて、父が生きていたら言えただろうか。 いや、あれ以上、おれの悪癖で苦しめる訳にはいかない。言えなかったと思う。 ましてや、母になんて到底。 母は今どうしているのだろう。 何度手紙を書いても、メールを送っても返事はない。 おれのことはもう忌まわしい存在としか思っていないのはわかっている。 人間関係なんて共同幻想でしか無い、誰かがその幻想を放棄したらそこまでだ。 放棄されるのなら期待しないほうがいい。きっと、先生のことも。
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