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すると彼は目を開ける。
苦しげに顔を歪めて、何かを口にしようとしたから
私は自分の唇で彼の唇を塞いだ。
"ごめん"
その一言だけは言わせたくない。
穏やかな日常。
幸せな日常。
だけどそれは見せかけなんだって思い知らされる
から。
彼の罪悪感と私の罪悪感。
それが無くなるのはいつになるだろう?
半年後?
一年先?
もしかしたらそれはもっとずっと先になるかも
しれない。
だけど私は信じている。
その日は必ず訪れるって信じている。
そう。
これは私が決めたこと。
彼は何も悪くない。
謝る必要なんてない。
彼の一番大切な人が私じゃないとしても
私は彼のことが好きだから─────。
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