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残像
───彼女の姿を初めて間近で見たのは
高校二年生の夏だった。
その頃にはすっかり意気投合していた私と譲。
朝のホームルームまでの時間、お昼休み
そしてたまに放課後も…
あの時の私達は飽きることなく話していた気が
する。
彼は誰にでも分け隔てなく接する人だから
いろんな人に慕われていたけど、それでも
彼の方から進んで話しかけることはあまりない。
そのことで私はちょっとした優越感を感じていた。
特別な会話をしている訳ではない。
物凄く会話が盛り上がる訳でもない。
だけど何故だろう。
彼の隣は居心地が良かった。
たぶんそれは彼も感じていたんだろう。
だから私は、自分が彼と一番仲がいいと
錯覚していた。
いや確かに"友達"の中では一番仲が良かった
んだろう。
…そう、あくまで友達。
それを思い知ったのは、夏休みに入る前の
ある放課後のこと───。
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