残像

1/13
前へ
/167ページ
次へ

残像

───彼女の姿を初めて間近で見たのは 高校二年生の夏だった。 その頃にはすっかり意気投合していた私と譲。 朝のホームルームまでの時間、お昼休み そしてたまに放課後も… あの時の私達は飽きることなく話していた気が する。 彼は誰にでも分け隔てなく接する人だから いろんな人に慕われていたけど、それでも 彼の方から進んで話しかけることはあまりない。 そのことで私はちょっとした優越感を感じていた。 特別な会話をしている訳ではない。 物凄く会話が盛り上がる訳でもない。 だけど何故だろう。 彼の隣は居心地が良かった。 たぶんそれは彼も感じていたんだろう。 だから私は、自分が彼と一番仲がいいと 錯覚していた。 いや確かに"友達"の中では一番仲が良かった んだろう。 …そう、あくまで友達。 それを思い知ったのは、夏休みに入る前の ある放課後のこと───。
/167ページ

最初のコメントを投稿しよう!

81人が本棚に入れています
本棚に追加