残像

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望月汐里(もちづき しおり)。 彼と同じく、この学校に通っていて彼女を 知らない人はいないだろう。 美少女。 正にその呼び名がぴったりの人だ。 あまり人と話したがらず、物静かな彼女は、どこか ミステリアスな人物だと噂されている。 だけど唯一、彼女に寄り添う人が居た。 ───それが譲だ。 彼女とは小さい頃からの幼なじみで、そして 恋人同士。 そんなことは、この学校に通っている人なら みんな知っている。 もはや常識だ。 まだ彼と知り合う前。 たまに遠目に見かけた二人はとてもお似合いだと 思った。 美男美女。 誰もがそう言っている。 二人のことはもちろん私だって知っていた。 だけどこの日初めて、二人の関係を目の当たりに してしまったんだ。 小さい頃から一緒に居るからなのか、恋人 特有のものなのか、二人の間には何か特別な 空気が流れている気がして…疎外感を感じる。 ズキッと胸が傷んだ。
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