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もし彼が結婚をしていたり、付き合っている人が
居たとしたら、会うのは今日で最後にしようと
決めていた。
私は勇気を出して彼の連絡先を聞く。
彼にとっては迷惑かもしれない。
だけど…もう一度膨れ上がってしまった気持ち
に嘘はつけない。
連絡先を交換して、その日はそれで別れた。
たった数時間のことだったのに、私にとっては
とても濃密な時間。
その時は、再会できたことがただただ嬉しくて
この先どうしたいとか、そんなことを考える
余裕はなかったんだ。
とにかく、彼と会いたくて…
もっと話をしたくて…
だから連絡先を交換した。
それから週に一回くらいのペースで、私は彼を
食事に誘った。
断られる可能性が高いと思っていたのに、意外に
彼は来てくれる。
たまに仕事が残っていて行けないと返事を
されることもあったけれど、私が誘えばほとんど
彼は来てくれた。
最初は食事をするだけだったのが、いつしか
飲んだりもするようになって、彼がお酒に弱い
ことも知ったり。
そんな風に頻繁に会っているうちに、まるで
高校生の時のように私達の距離は縮まったように
感じた。
ただ、連絡をするのはいつも私からで、彼から
連絡が来ることは一度もなかったけれど。
───あの日までは。
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