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「瞳。」
はっとして目を開けると、彼の顔がすぐ近くに
あって心配そうに覗いていた。
どうやらいつの間にか少し寝てしまったらしい。
「やっぱり疲れてるんだね。
先にお風呂にする?」
「ううん。ありがとう。
ご飯にする。」
こうやっていつも私を気遣ってくれる彼は
とにかく優しい。
今日だって、残業で遅くなるって連絡をしたら
すぐに迎えに行くって返してくれた。
いつもそう。
周りの友人からは、過保護だの溺愛だの言われて
しまうくらい、彼は本当に私を大切にしてくれる。
ソファーから立つと、私が寝てしまっている間に
彼が用意してくれた料理が、綺麗にテーブルに
並べられているのが見えた。
そのテーブルの端───
遠慮がちに一枚の手紙が置かれている。
宛名は私。
「ポストに入ってた。」
そう教えてくれた彼は少し視線を落とす。
───ああ。
またこの顔をさせてしまった。
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