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ベッドに入って目を閉じていると、暫くして
お風呂から上がった彼が寝室に入ってくるのが
分かった。
いつものように背を向けて横になっている
私の隣に、体を滑り込ませる。
「瞳…」
いつもだったら、私が残業で疲れている日は
そのまま一緒に寝るだけなのだけど、今日は違う。
私が起きていることを確めているのか、まるで
縋るように切ない響きをもって呼ばれた名前。
「譲…?」
私が体の向きを変える前に、彼は背中にピッタリと
貼り付いた。
ぎゅうっと力強く抱き締められる。
まるで何かを訴えるかのように。
彼の熱が背中越しからでもよく伝わる。
「瞳」
直接耳元に囁かれた私を呼ぶ声。
顔を見なくても、彼が今どんな顔をしているか
想像が出来る。
だから、スイッチが入ったようにパジャマの下から
触れてきた彼の手を…
私はそのまま受け入れた。
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