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ベッドでコトに及んでいる最中。
自分が揺らしているのとは別の揺れを感じて、早瀬はハタと動きを止めた。
「……揺れてる?」
快感にその表情をゆがめていた輝が、スっと真顔に戻る。
「揺れてるね」
早瀬の答えを待つまでもなく、腕の中からスルリと抜け出し――当然、ソッチも抜けてるわけだが――、マッパのままで輝は部屋の隅にあるパソコンへと向かった。
「二十一時八分。早瀬、メモっといて」
早瀬の私室のパソコンにはシステムを入れていないから、「ち」と軽く舌打ちすると急いで先ほど早瀬が脱がせたスウェットを着込み、慌ただしく部屋を出て行った。
「……タイミング、悪」
イく寸前で引き抜かれたモノが虚しく上を向いているが、その矛先をどこにも向けることができないこの切なさはどうしてくれようか、と早瀬は大きくため息を吐いた。
「早瀬! 何やってんだよ。研究室!」
完全に切り替えた輝が部屋の扉を開けて睨むから。
「……五分、待って」
「ヌくのは向こう着いてからにしてくれ」
身も蓋も、色気もクソもない言われように、早瀬は仕方なく自分の頬を両手で軽く叩くと、自分もその場に脱ぎ捨ててあった服を身に纏い、さっきまで甘い空気で満たされていたベッドルームを後にした。
後ろ髪を、ハゲそうなくらい引かれながら。
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