17人が本棚に入れています
本棚に追加
「アズちゃん大丈夫?」
ふと我に返ると鏡に優しくボクの背中をさすりながら心配する美咲の姿に気づくと慌てて濡れた手をブレザーで拭きながら気丈にふるまった。
「だ、大丈夫だよ…… それよりも急いで戻らないと」
「アズちゃん、大丈夫じゃないよ。だってずっと私に気づかないで涙を流しながら何度も手を洗っていたじゃない…… 何か嫌な事でもあったの? 私でよければ相談して。今度はアズちゃんの助けになりたいの」
「美咲……」
ボクは不覚にも涙を流していた事さえも気づかなかった。ボクの胸に暖かい吐息を感じながら寄り添う美咲をギュッと抱きしめた。
「ありがとう……」
ボクは美咲に過去のいじめから男性恐怖症で悩まされていることを告白した。その事で勇太先輩との絡みがどうしても悩んでいることを打ち明けると、
「ごめんね。早く気づいていれば脚本も変更していたのに……」
美咲は涙を流しながらボクの胸で大粒の涙を流した。そしてボク達がキスをしようと甘い吐息が鼻の先に当たるまで顔を近づけていると
「あずっち大丈夫? とりあえず勇太は私がお仕置きしておいたわ」
ボク達は慌ててキスを止めて何事もなかったかのように亜希先輩に振る舞うが……
「だ、大丈夫です」
「アズちゃん。とりあえず塚本先輩にも相談しよう」
「う、うん……」
最初のコメントを投稿しよう!