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「危険。奴ハ、仲間ヲ、呼ブニ違イナイ。コダマニハ、防グコトガ、デキナイ」
「仲間?」
「コダマハ、失敗シタ。アノ二人ヲ、両方トモ、殺スベキダッタ。一人残シタノハ、失敗。殺セバ、ヨカッタ。殺セバ」
コダマのカメラアイが禍々しい赤い光を放つ。ソウタの見知らぬロボットのコダマ。
「コウナッタラ、急ガナケレバ。ソウタ、夜ガ明ケタラ、一人デ、国境ヲ、越エナサイ」
「一人で?」
「ソウ。抜ケラレル場所ガアル。コダマガ、見ツケタ。ソウタニ、ソノ場所ヲ、教エル」
子どもなら抜けられそうなところがあるらしい。
「国境ヲ越エタラ、隣ノ国ニハ、ソウタノ、オ母サンガ、イル」
暗闇の中に響くコダマの声。
「お母さん? 僕のお母さん?」
少年は驚愕の声を上げた。
「ソウ」
「僕には生まれたときから、お母さんはいないって、お父さんが」
二人の間に沈黙が訪れる。聞こえるのは、コダマのモーター音だけ。
「ソウタノ、オ母サンハ、イル。オ父サンハ、言エナカッタダケ」
少年には、にわかに信じられなかった。隣国にお母さんがいたなんて。
「ソウタハ、ココヲ出テ、オ母サンノトコロヘ、逃ゲル。ソウタニ、何カアッタトキ、ソウタニ、伝エルコトニ、ナッテイタ。コダマハ、ソウ作ラレテイル」
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