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夜が明けようとしていた。
白んでいた空は薄紫色に染まり、地平は黄金色に輝き始めていた。今日という日の太陽が昇ろうとしている。草原へと歩み出たソウタは背後の森を振り返った。
地の底を這う雷鳴のような振動。薄気味悪い地響き。
そして、とうとうソウタの前に姿を現したそれらは、どこかコダマと似ていた。
蜘蛛のような脚を生やした数十台のロボットたちが、土埃を立てて、森の木をなぎ倒し、野原の花を踏みつけ、靄に包まれて、一直線にこちらへ向かってくる。
コダマと同じく虹色の金属ロボット。コダマより大きいが、半楕円球形で平たく、その背部には砲塔らしきものを搭載している。ギョロギョロと動き回る巨大なカメラアイ。
人間ではコダマにかなわないと見た兵士は、コダマを破壊するために、兵器ロボット分隊を呼び出したらしい。ロボット装甲車隊だ。
押し寄せる装甲部隊へカメラアイを向けたコダマ全体の表面が、昇る朝の光を受けて虹色に煌めいた。
突如、コダマはミサイルのごとく、ブースター噴射して飛び立った。
目にも止まらぬ速さで、コダマは縦横無尽に空中を旋回する。
そして、垂直上昇しはじめたコダマの金属ボディが火の玉のように光り輝いた。敵を確実に捕捉するための戦闘用AIによる超高速三次元座標変換が開始される。コダマの戦闘モジュールが起動したのだ。と同時にパレットハンドは収納され、レーザー砲が瞬く間に現れる。
地上で蠢く蜘蛛脚ロボット装甲車の砲台が、執拗にコダマを狙うが、疾風迅雷で飛び回るコダマに弾は一つも当たらない。だがコダマのレーザー砲は、目まぐるしく回転しながらも、猛スピードで走行するロボットの分厚い装甲を確実に穿ち、一つ残らず殲滅していく。
「今ダ!行ケ!ソウタ!」
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